そらテクノロジーは、放射冷却で室温を下げる特許技術です。建物の構造だけで、涼しく快適に過ごせる家づくりを目指しませんか?
株式会社ソロモン

ショールームのご案内

放射冷却を⻑年研究し、住宅に応用して夏も涼しい住宅が完成しました。
ショールームで体感してください。

正面からの外観

放射冷却室(外壁反射板)

放射冷却室(空)

放射冷却室(断熱扉収納方法)

放射冷却室(断熱扉閉)

放射冷却室(室内)

一般室(室内)

一般室(天井)

研究室(室内)

事務室(室内)

弊社(株式会社ソロモン)が取得した特許を元に、一級建築士の大山氏にショールームを設計していただきました。
大山氏も長年、放射冷却を利用した快適住宅の研究をしており、そのノウハウ・技術をそらテクノロジーの契約工務店様にご提供いたします。

以下、大山氏からショールームについてご説明いただいています。

一級建築士 大山 一誠氏

計画・設計にあたり

建物は、一般住宅を想定し住宅っぽく計画している。部屋は実験の成果を比較するため、同サイズの一般室を隣接している。また他室の影響を減らすために、壁や建具にも断熱を施している。

放射冷却は極めて単純で屋根面を宇宙空間に開くだけなので、一般室との違いは天井面がガラス張りだと言う点だけだ。たったこれだけで何が違うのか?と思ってしまうが宇宙空間には絶対零度(-273℃)が拡がっている。特に雲一つ無い快晴日は宇宙空間が開かれ放射冷却の影響が増す。
対流圏と大気圏の圏界面付近でも-50℃くらいなので、放射冷却は夏でも冬でも普通に起きる現象で、それを建築に利用できれば面白いと思う。

京都の町屋では建物に涼風を得るために建物の真ん中辺りに坪庭を設けている。坪庭は建物に囲まれ日の当たらない場所であると同時に宇宙空間に開けた場所でもある。理論ではなく生活の知恵として工夫されてきた手法を現代にも応用できれば面白いと思う。

発明家 砂原氏との出会い

 建物オーナーである砂原氏との出会いは、かれこれ5~6年前にさかのぼる。氏が「放射冷却により室温を下げる」特許を取得された記事を見つけ、いてもたってもいられずメッセージを送らせてもらったのが縁である。
その頃、私も同様の実験(図1)をして効果を確認していたこともあり、その衝撃は今でも鮮明に覚えている。

図1:2017.8/8~18放射冷却実験(誠風庵データ) 

※熱容量の大きい水冷で実験

「黒体から放出されるエネルギーは絶対温度の4乗に比例する」これはシュテファンボルツマンの法則で、「E=σT⁴」と言う極めて単純な公式であらわされ、私はこの公式の美しさに魅了され、太陽エネルギーや大気の温室効果の計算などしながら、地球温暖化が凄い勢いで進行している事を数字でも実感し、全ての建物が設備に頼らずとも、省エネで快適である必要があると考えていた。

現在私たちの暮らしは、何も考えなくても電気などのエネルギーが利用でき快適である。しかしそのエネルギーが温暖化により、今後どんどん高価になっていく。最近その影響をみなさんも感じていると思う。と言うことは、できるだけエネルギーに頼らなくても快適に暮らせる生活(建物)が必要になってくると言うことだ。

私は比較的温暖な浜松市南部(※浜松市は広く北部は長野県との県境まである)に住んでおり、建物の断熱性能をちょっと良くすると、省エネでとても快適な建物ができ、お客様にも喜んでいただいている。特に日照率が高く、冬季の浜松は晴天日が続く。そのため、建物の性能を上げると、冬季の暖房時間が少ないため夏季より省エネで暮らせることになる。(注1)つまり、私の課題はその夏の快適性と省エネ性実現と言うことになり、放射冷却を利用した室温を下げる技術は私の欲していた部分と合致する。

(注1)

一般的には夏季より冬季の方がエネルギーが増える。
夏33℃の室温を27℃設定でエアコンを稼働すると、その温度差は6℃となる。冬10℃の室温を22℃設定にすると、その温度差は12℃となる。
つまりエアコンの稼働エネルギーは夏より冬が2倍になるのだが、高気密高断熱によって室温が17程度となると、日中は太陽熱で温められるので、エアコンの稼働は早朝と夜間の数時間でよくなってしまう。
一方、夏は太平洋高気圧により高温で且つ高湿度な環境のためエアコンは24時間稼働となる。

今回、砂原氏の実験施設建設にあたり、私の約割は、しっかりした性能を確保した器としての建物性能を確保すること。そしてより効果が得られるために建築で出来る工夫をすることだ。

ショールームの設計にあたり

金沢市は私の中では寒冷地なのだが、温熱区分は6地域で浜松市と同じである。最低気温は低いが大差は無い。強いて言えば低温の期間が長い。そして大問題なのは冬季の日射取得が皆無だという点だ。本建物は夏季の放射冷却の実験施設とは言え、建物である以上は冬季の事も考えておく必要がある。

温熱計算ソフトのホームズ君省エネ診断エキスパートで室温シミュレーションをしたが、南側に日射取得用の大開口部(窓)を設置してもたかだか1℃前後室温が改善されるだけで、光熱費も暖房費は2350円安く済むものの、冷房費は1450円程度プラスになり、大開口部の日射取得がメリットにならない地域であることから、日射取得を期待せず、断熱性能確保に注力した。
建物性能は、UA値0.20W/㎡K。気密は施工条件に「C値0.5c㎡/㎡未満」としながらも出来るだけ性能を確保したいと考えているが、こちらは施工者に頑張っていただくしかない。この性能なら浜松市ではほぼ無暖房で18℃以上、日中は太陽熱で温めてくれるので寒さに悩むことはないが、金沢市ではそうはいかないのが残念なところである。

建物の骨組みとなる構造は、積雪1m、積雪単位荷重40N/cm/㎡を長期荷重に算入している。温暖地育ちの私にとっては仰天荷重と戦いながらも耐震等級3(最弱の1階Y方向の風圧力の充足率で2.51)(図2)、偏心率は0.034(図3)(建築基準法0.15以下、弊社基準0.05以下)を確保している。本建物は、放射冷却実験室に夏季の夜間冷却時間以外は部屋を断熱する扉があり、構造体をレール代わりにしているため通常の構造計画にもひと工夫が必要となった。他にも放射冷却が出来るだけ効率が良くなるよう諸処に配慮した。

図2:壁量充足率

図3:偏心率

特許技術への期待

本建物は放射冷却実験施設のため、実験によって成果が今後明らかになっていく。
夜間冷却により室温がどのくらい下がるのかは、床材の放射効率やガラスの透過効率などの影響を盛り込みながら冷却性能を計算。また室内容積と空気の熱容量などから冷却の必要量を想定し、放射冷却効果により下がる温度を計算した。

冷暖房機器の様に一定のエネルギーで冷却できないのと、建物の断熱性能が高いとは言え、熱損失の影響も考えられる。やはり机上の計算では想定出来ない何かがあるのではないかと考えるため厳しめの性能計算だが、小さな箱での実験とは違う実際の建物での実測データが得られるのは貴重な資料であり、今後の発展に繋がると推測する。

また室温に併せ湿度の問題がある。室温を32℃相対湿度70%と想定し、室温を26℃まで下げた場合、相対湿度は99%とほぼ露点温度になり、何もしなければ結露の問題が考えられる。一つは塗り壁による吸放出効果も期待できるが、空気中の水蒸気量は変わらないので限界がある。調湿程度と考えるべきだ。そのため別の方法が必要になる。

計算上225g程度、コップ1杯分の除湿をしないと快適性を得られないばかりか結露を引き起こしてしまう。この件に関しては砂原氏の方が詳しいと思うので割愛するが、幾つかの方法が考えられるので、比較実験などを実施して検証できるのも楽しみだ。そう考えていると実験用に先行工事を提案したくなってしまうので氏に怒られそうだ・・・。

最後に高気密高断熱の強みは保温であって、それは冬季の暖かさだけではなく、夏季の涼しさも同じである。窓など日射取得に繋がるものが無ければ案外涼しいので、放射冷却によって得られた冷気の使い方に期待したいと思う。

建物名  :あおぞらハウス
設計   :誠風庵・大山一誠アトリエ
構造   :木造
規模   :地上2階
延べ床面積:99.36㎡
特許   :第6209806号

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