放射冷却により室内を冷やせることを確認する簡単な方法を説明します。

放射冷却原理確認キット
放射冷却を自宅で体験!簡単な実験方法
夜空に向かって熱を放出する「放射冷却」は、晴れた日の夜に空気が冷え込む現象です。この原理を応用すれば、電気を使わずに建物を冷やすことも可能です。ここでは、身近な材料を使って放射冷却の効果を確かめる実験方法を、より詳しく説明します。
実験の準備:放射冷却確認キットの作成
この実験の鍵となるのは、熱を効率よく放射し、周囲の熱を遮断するシンプルな装置です。以下の手順で作成してください。
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材料の準備:
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発泡スチロールの箱: 外部の温度変化を遮断する断熱材として使用します。
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黒アルマイト処理されたアルミ板: 熱を効率よく吸収・放射する性質があります。今回は、この面が冷却の主役となります。アルミ板がなければ黒っぽい板を使用すれば良いです。材質は金属、木材、プラスチックなど入手可能な物でよいです。
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温度計: 箱の中と外の温度を測定するために、2つあると便利です。この2つの温度計は同じ物を準備してください。小さな温度差を測るため温度計の違いによる誤差を省きたいと思います。ここでは、ガラスの温度計を2本同じ物を使用しています。
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ラップ: 箱を密閉し、内部の空気が外気と混ざるのを防ぎます。ラップのメーカーにより赤外線透過率に違いがあります。効果が小さいと感じたときは別のメーカーの物に変えてみるのも良いと思います。
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組み立て手順:
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まず、発泡スチロールの箱の底に黒アルマイト処理されたアルミ板を置きます。これが、熱を放射する床板の役割を果たします。
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次に、箱の中のアルミ板の上に温度計を固定します。これにより、箱の中の温度を正確に測ることができます。
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最後に、発泡スチロールの箱の開口部をラップでしっかりと密封します。これで、内部の空気が外部の空気と混ざり合うのを防ぎ、アルミ板の放射冷却による影響を隔離できます。
- 外気温を測る温度計ですが、温度計単体を空から見えるように配置しないでください。温度計から直接赤外線を空に放射して正確な外気温が測定できない可能性があります。必ず温度計の上に空気が通るようにカバーを付けてください。
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放射冷却実験の手順と注意点
準備ができたら、いよいよ実験です。正しい条件で行うことで、より明確な結果が得られます。
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実験環境の選定:
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晴れた日の日没後を選びます。雲は地表からの放射熱を跳ね返すため、放射冷却の効果を妨げます。
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建物や障害物から離れた、開けた場所に実験キットを置きます。他の物体から放射される熱(赤外線)の影響を受けないようにするためです。
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地面に直接置かず、少し高さのある台の上などに置くと、地面からの熱を遮断できます。
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温度測定:
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実験キットの近くに、もう一つの温度計を設置し、外気温を測ります。この外気温測定用の温度計は、空に向かって直接熱を放射しないように、何かで覆うか、地面に向けて設置するなど工夫してください。
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実験キットと外気温の温度計の初期値を記録しておきます。
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冷却の確認:
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そのまま30分から1時間程度待ちます。時間が経つにつれて、アルミ板は夜空に熱を放射し始め、温度が下がっていきます。
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再びそれぞれの温度計を確認します。実験キットの中の温度が、外気温よりも2〜3℃程度低くなっているはずです。
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実験結果の考察
この実験結果は、次のことを示しています。
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黒いアルミ板は、夜空に向かって赤外線(熱)を放出し(放射)、自らが冷えました。
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アルミ板が冷えることで、それに接している箱の中の空気も冷やされました。
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この原理を応用すれば、建物の屋根や外壁に放射冷却素材を使用することで、室内を自然に冷やすことが可能になります。
- ラップの種類により赤外線透過率が変わってきますが、薄いため素材にこだわらなくてもよいと思います。素材が何であれ薄ければ透過するという意味です。
さらなる冷却への挑戦
この原理をさらに発展させると、より大きな冷却効果を得ることができます。例えば、凹面鏡のような反射板を使って、熱の放射を一点に集中させる方法があります。この方法を用いると、外気温よりも約10℃も温度を下げることに成功した例もあります。 この技術は、エアコンに代わる次世代の冷却システムとして、大きな可能性を秘めています。より高度な冷却方法については、追って詳しくご紹介します。

