大気中の水蒸気量と放射冷却の強さについて説明します。
水蒸気量と放射冷却の強さには、密接な関係があります。結論から言うと、水蒸気量が少ないほど放射冷却は強まります。
放射冷却のメカニズム
放射冷却とは、地表面が太陽からの熱を失い、宇宙空間に向かって熱(赤外線)を放出することで冷え込む現象です。夜間は太陽からの熱の供給がなくなるため、この熱の放出が顕著になります。
この熱の放出を妨げるものがあると、冷却は弱まります。その「妨げ」となる主な要因の一つが、大気中に含まれる水蒸気と雲です。
水蒸気の役割と放射冷却の関係
水蒸気は、二酸化炭素などと同様に温室効果ガスです。温室効果ガスは、地表面から放出される熱(赤外線)を吸収し、その一部を再び地表面に向けて放射し返します。
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水蒸気量が多い場合 水蒸気が熱を吸収して地表面に熱を返しやすくなるため、熱の放出が抑えられ、放射冷却は弱まります。これは、まるで空に「布団」がかかっているような状態です。
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水蒸気量が少ない場合 大気中に熱を吸収・再放射する水蒸気が少ないため、地表面から放出された熱が宇宙空間へスムーズに逃げていきます。このため、地表面はより強く冷え込み、放射冷却が強まります。
このため、冬の晴れて乾燥した夜は、放射冷却が特に強くなる条件が揃い、気温が大きく下がりやすくなります。 また、雲も水蒸気と同様に熱を吸収・再放射する働きがあるため、曇りの日は放射冷却がほとんど起こりません。
季節と水蒸気量の関係
水蒸気量は気温が高いほど多くなります。高い温度の空気には多くの水が気化しやすいからです。ですから、夏季の気温が高いときほど水蒸気量が多くなります。絶対湿度が高くなるということです。そうなると二酸化炭素と水蒸気の両方が放射冷却を阻害します。放射冷却で地表が冷えることを抑制するようになります。夏季の方が、放射冷却が強くなる方が地表や室内を冷却することに役立ちます。
