放射冷却室と一般室における夜間室温変化の比較検証
1. 実験の目的と背景
本実験は、高気密・高断熱の環境下において、「放射冷却」の効果を最大限に利用した特殊な部屋(放射冷却室)と、一般的な高気密室(一般室)とで、夜間の室温変化にどのような違いが生じるかを比較検証することを目的としました。特に、居住者がいる状況を想定し、両室の床に100Wの白熱電球を設置し、これを一人分の発熱量としてシミュレートしました。
2. 実験の設計と方法

2部屋の温度変化測定
実験は、同時刻に同一条件で測定できるよう、並行して設置された2つの部屋を用いて実施しました。

一般室

放射冷却室

放射冷却室と一般室の室温の変化(測定器:YOKOGAWA GP10)
3. 測定結果の概要
測定時間(20:00〜5:00)における室温変化は、両室で決定的な違いを示しました。
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一般室(高気密高断熱):
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室温は一貫して上昇し続けました。これは、高断熱構造により熱の逃げ道が極めて少ないことに加え、100Wの発熱源が継続的に熱を供給し続けたためであり、予想通りの結果となりました。
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放射冷却室(特殊天井・濃色内装):
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発熱源があるにもかかわらず、室温は測定期間を通じて低下し続けました。
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測定開始時点(20:00)では、日中に直射日光がガラスの天窓から入射した影響により、一般室よりも高い室温を保っていました。しかし、夜間にかけて急激に冷却が進み、最終的には一般室の室温を下回る結果となりました(室温の逆転)。
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4. 結果の考察と冷却メカニズム
この実験結果から、放射冷却室の特殊な冷却効果が裏付けられます。放射冷却室の冷却メカニズムは、主に以下の2つの要素が複合的に作用していると考えられます。
4.1. 放射冷却の直接効果(主要因)
放射冷却室の天井にはガラスの天窓が採用されています。
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室内の床や家具など(特に濃い色で設計され、黒体放射を期待された表面)から発生した熱(赤外線)が、このガラスを透過して夜空(宇宙空間)へ直接放射されたため、室内の熱量が継続的に奪われました。
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この熱放射による冷却効果が、100Wの内部発熱を上回ったため、室温の継続的な低下が観測されました。
4.2. 熱伝導による間接冷却(補助要因)
ガラスの高い熱伝導率も冷却に寄与していると考えられます。
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夜空への放射により、まず天井のガラス自体が放射冷却で著しく冷やされます。
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この冷やされたガラスの冷気が、熱伝導や対流を通じて室内の空気に伝わり、間接的に室温を下げる要因となった可能性があります。
これらの結果は、高気密高断熱住宅であっても、天井部に熱の放出経路(放射面)を確保し、内装色を最適化(濃色化)することで、夜間に内部発熱を上回る冷却効果を得られることを示唆しています。また、部屋の高さによって室温差が生じることが示唆されたため、温度勾配に関する詳細な分析が次のステップとして重要となります。

