空を放射温度計で測る

2025年6月12日 早朝 空を放射温度計で測ったところ、マイナス26℃でした。

 

放射冷却の強さを測る:「空の温度」から見る熱の逃げ道

私たちが普段意識することのない「放射冷却」ですが、その強さは空を測ることで定量的に知ることができます。物体から熱が逃げていく「宇宙空間」の冷たさを測定することで、この現象のメカニズムを深く探ります。

 

1. 放射冷却の測定方法と基本原理

 

 

🌡️ 赤外線放射温度計で空を測る

 

放射冷却の強さは、赤外線放射温度計を使って上空を測定することで分かります。

この測定で得られる温度(例:マイナス26℃)は、上空の空気自体の温度ではなく、「空から地上に向けて放射されている赤外線の量」を温度に換算したものです。

  • 測定温度が低いほど(例:)、空が地上に戻す熱線が少なく、熱の逃げ場として「空が冷たい」ことを意味し、放射冷却は強くなります。

  • 測定温度が高いほど(例:)、空が地上に戻す熱線が多く、熱の逃げ場として「空が暖かい」ことを意味し、放射冷却は弱くなります。

 

🌌 理想的な冷却環境:空気のない月

 

空気がないでは、放射された熱(赤外線)は途中の大気に遮られることなく、直接絶対零度に近い宇宙空間へと逃げていきます。そのため、夜間の地表温度は約 にも達するといわれています。これは、究極の放射冷却の例です。

 

2. 実際の測定値と環境要因の変化

 

 

📉 2025年6月12日の測定結果

 

2025年6月12日早朝に空を測定したところ、マイナス26℃という結果でした。以前に観測したマイナス56℃(非常に放射冷却が強い状態)と比較すると、この日の空は熱の逃げ場として「暖かかった」ことになり、放射冷却は比較的弱かったと言えます。

 

💨 放射冷却の強さを決める主な要素

 

この空の温度(放射冷却の強さ)が変化する主な原因は、地球を覆う大気中に含まれる温室効果ガスです。特に影響が大きいのは以下の2つです。

  1. 水蒸気濃度(絶対湿度)

  2. 二酸化炭素濃度

これらのガスは、地上から宇宙へ向かう赤外線を吸収し、再び地上へ向けて熱を再放射(温室効果)するため、空の測定温度を上昇させます

 

🗓️ 季節による変化と水蒸気の影響

 

一年を通して空を測定していると、季節によってこの温度が大きく変化します。これは、主に空気中の水蒸気量(絶対湿度)が季節によって変動しているためと考えられます。

季節 気温・湿度傾向 放射冷却の傾向 理由
気温が低く、絶対湿度が低い 強い 水蒸気が少ないため、熱線が宇宙に逃げやすい。
気温が高く、絶対湿度が高い 弱い 水蒸気が多いため、熱線が吸収・再放射されやすい。

 

3. 特許技術への応用

 

このマイナス何十度の冷たい「天井」と、地上のプラスの温度を対面させ、効率的に赤外線を室内から空に向けて放射させることで、冷却効果を生み出すのが、当ショールームで使用している特許技術の原理です。

私たちは、特に放射冷却が弱くなりがちな夏場に強い放射冷却を実現するために、2年間にわたり早朝の空の温度測定を続けています。今後は、空の温度と雲の比率などのデータをグラフ化し、冷却を最大化する条件をさらに追及していきます。