先日申請していた、太陽光発電の「系統連系」に関する電力会社への書類が受理され、ついに審査結果が届きました。
結果は問題なく承認。今後は「低圧系統連系技術要件確認書」を提出する運びとなりました。まだ太陽光パネルの設置工事が完了していないため、連系を実際に開始する日は未定ですが、目標としては12月中の運転開始を目指しています。
今回は、私自身の経験を基に、これから太陽光発電を始めたい方が気になるであろう「系統連系」について、その仕組みやメリット・デメリット、そしてよく比較される「オフグリッド」との違いを分かりやすく解説します。
系統連系とは、自宅で発電した電気を、電力会社の送電網(電力系統)に接続することを指します。
この仕組みにより、以下のような電気のやり取りが可能になります。
自家消費:日中、太陽光で発電した電気を家庭内で優先的に使用し、電気代を削減します。
売電(逆潮流):発電量が消費量を上回り、電気が余った場合は、その余剰電力を電力会社に買い取ってもらうことができます。
買電:夜間や天候が悪く発電できない時は、従来通り電力会社から電気を購入して使用します。
つまり、自宅の発電設備と電力会社の送電網を連携させ、電気を効率的に活用するシステムが系統連系です。
太陽光発電の利用方法には、系統連系の他に「オフグリッド」という選択肢もあります。両者の違いを理解することで、ご自身のライフスタイルに合ったシステムを選ぶことができます。
余った電気を売電できる:FIT制度(固定価格買取制度)などを利用して、余剰電力を売ることで収入を得られます。
電気代を大幅に削減できる:日中の電気を自家発電でまかなうことで、電力会社から買う電気の量を減らせます。「夏の昼間、エアコンの電気代を気にせず使える」といった暮らしが実現しやすくなります。
蓄電池が必須ではない:電力系統とつながっているため、発電できない時間帯も電気が止まる心配がありません。高価な蓄電池を導入しなくても始められるため、初期コストを抑えられます。
安定した電力供給:天候に左右されず、常に安定した電力を使えます。
停電時には原則使えない:電力系統が止まる停電時には、安全上の理由から発電も停止します。ただし、多くのパワーコンディショナーには「自立運転機能」が搭載されており、手動で切り替えることで、発電している日中のみ、特定のコンセントで電気を使用できます(使用できる電力には上限があります)。
導入に申請と許可が必要:電力系統に影響を与える可能性があるため、電力会社への申請と審査が必要です。
オフグリッドとは、電力会社の送電網に接続せず、完全に独立して電力を自給自足するシステムです。
災害・停電時に非常に強い:電力系統から独立しているため、台風や地震などで大規模な停電が発生しても、自宅の電力システムが正常であれば電気を使い続けることができます。
電気代がかからない:電力会社との契約が不要なため、毎月の電気代の支払いがなくなります。
送電網がない場所でも電気が使える:山小屋やへき地など、電線が通っていない場所でも電気を確保できます。
大容量の蓄電池が必須で高コスト:発電できない夜間や悪天候時に備え、電気を貯めておくための蓄電池が不可欠です。システム全体の初期費用が系統連系に比べて高額になる傾向があります。
天候に左右されやすい:数日間、日照不足が続くと、蓄えた電気がなくなり、停電状態になるリスクがあります。
蓄電池のメンテナンスと寿命:蓄電池は消耗品であり、数年~十数年での交換が必要です。その際の交換費用も考慮しなければなりません。また、蓄電池の種類や容量によっては、消防法に基づく設置基準や定期的なメンテナンスが求められます。
蓄電池の設置スペースが必要:大容量になるほど、蓄電池のサイズも大きくなるため、屋内や屋外に適切な設置場所を確保する必要があります。
最後に、私が今回の申請で実際に準備した書類と、導入する設備をご紹介します。
低圧太陽光発電設備技術検討用資料(JET認証品用)
「太陽光発電からの電力受給に関する契約要綱(低圧)」による太陽光契約申込書
「再生可能エネルギー発電設備からの電力受給契約要綱」による電力受給契約申込書
連系契約申込書
単線結線図:発電設備から家庭内の配線、そして電力系統へ、電気がどのように接続されるかを示す専門的な図面です。これは自宅の設備構成に合わせて作成する必要があります。
パワーコンディショナー:オムロン製 KPV-A55-J4 ×1台
太陽光パネルが発電した直流電力を、家庭で使える交流電力に変換する重要な機器です。
太陽電池(ソーラーパネル):ロンジソーラー製 LR4-72HPH-450M ×15枚
合計の発電容量は、450W×15枚 = 6.75kW となります。
太陽光発電システムの導入において、「系統連系」は非常に現実的でメリットの多い選択肢です。安定した電力供給を確保しながら電気代を削減し、さらに余った電気を売ることもできます。
一方で、災害への備えを最優先し、完全な電力の自給自足を目指すのであれば「オフグリッド」も魅力的な選択肢となります。
ご自身のライフスタイルや、何を最も重視するか(経済性、利便性、防災など)を考えながら、最適なシステムを選んでいきましょう。