自分でも「しつこい」と思いますが、もう少しだけこの開発物語にお付き合いください。
これまでに、
ミラー内部の空気を撹拌し結露を防ぐ方法(特許登録済)
鏡面温度が露点以下にならないようファンを間欠運転させる省エネ方法(特許登録済)
という2つの核心技術を確立しました。下の図は、鏡面温度(S2)が露点(S3)を決して下回らないように、ファンをON/OFF制御(間欠運転)している様子を示したものです。
しかし、私の探求はここで終わりませんでした。さらなる省エネ、究極の効率化への挑戦です。

従来の間欠運転(PWM制御)では、ファンがONの期間は、常に100%の力で回転していました。しかし、結露を防ぐのに、本当にそこまでの風速が必要でしょうか? もしかしたら、もっと弱い風でも十分かもしれない。だとしたら、ONの間の電力は無駄になっているはずです。
そこで、たいした発明ではないかもしれませんが、新たな制御方法を考案しました。
「ONの期間中だけ、さらに高速でON/OFFを繰り返し、ファンに供給する実質的な電力を下げる」

つまり、大きな波である間欠運転の「ON」の山の中に、さらに小さなON/OFFの波を無数に作り出すイメージです。これにより、ファンを100%の力ではなく、50%や30%といった、よりゆっくりとした速度で回転させることが可能になります。
この方式に正式な名前はありませんが、無理やり名付けるなら**「ダブルPWM方式」**とでも呼ぶべきでしょうか。
もちろん、このアイデアを検証するため、外部のスイッチで細かくON/OFFの比率を調整できる実験機も製作しました。「どこまで消費電力を下げても結露を防げるのか」その限界を見極めるためです。そして、実験によりその限界点も突き止めることができました。
「なぜ、そこまでして消費電力にこだわるのか?」と不思議に思われるかもしれません。
答えは、コストとサイズに直結するからです。
このカーブミラーは、太陽電池とバッテリーで独立して動作します。もし、消費電力を半分にできれば、電源である太陽電池も、蓄電池であるバッテリーも、半分の大きさで済むのです。これは、製品コストに絶大なインパクトを与えます。
部品を供給してくれる下請け企業を叩いてコストを下げるよりも、自らの知恵を絞って根本的な消費電力を減らす方が、よほど健全で、本質的なアプローチだとは思いませんか。
さて、この話、まだ続きます。 次は、さらなる効率アップへの挑戦です。
しつこいですね(笑)。
(参考:特願2010-104995)